派遣社員の3年ルールと
クリエイターの仕事

ゲーム業界では多くの派遣社員が即戦力として活躍していますが、ゲーム制作会社にとっても派遣社員として働くクリエイターにとっても壁になるのが派遣社員の3年ルールです。本来は派遣社員として働く人を守るために用意されたものですが、この3年という縛りがゲーム制作の現場に与えている影響について解説します。

派遣社員の3年ルールとクリエイターの仕事

派遣社員の3年ルールとは派遣期間の上限を3年とするもの

「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」において、ゲーム制作を含むソフトウェアの開発は専門業務とされ、派遣期間に制限は設けていませんでした。
しかし、実態にそぐわなくなってきたことや専門業務以外の仕事を専門業務と偽る例が増えたことから、2012年、すべての業種における派遣社員の派遣期間の上限を原則3年とする改正が行われます。これにより、派遣会社からゲーム制作会社に派遣されていたクリエイターは、同じ会社の同一部門で3年以上働くことができなくなりました。

その一方で、ユーザーは長く遊べる重厚長大なゲームを求める傾向が強く、大手パブリッシャーのAAAタイトルやオンライン対応ゲームの開発期間は、前作までの資産が活かせるシリーズものであっても数年かかることが普通になっています。
また、ハイエンドなコンシューマー機やパソコン向けの新規タイトルの立ち上げの場合、3年では足りないケースも増えてきました。つまり、派遣社員として大型タイトルの初期開発からリリースまで携わることがルール上難しくなっているのです。

派遣社員として同じプロジェクトに携わり続ける方法

ゲームの開発は、プログラミング・デザイン・企画のすべてにおいて専門性が高く、属人性も高くなるため、プロジェクトの途中でクリエイターが抜けることはゲーム制作会社にとって大きな痛手になりかねません。同時に、クリエイターにとってもリリースまで見届けることなく中途半端な時期に抜けることは、決してうれしいことではないものです。

また、高い能力を持つクリエイターに続けて働いてほしいと考える企業や、クリエイターが労働環境や仕事内容、社風などを気に入って働き続けたいと願うケースもあるでしょう。
そこで、同じクリエイターに派遣期間終了後も働き続けてもらうために下記の方法が考えられました。

派遣会社を辞めて直接雇用に切り替える

派遣期間終了後も働き続けるために、クリエイターに雇用されている派遣会社を辞めてもらい、ゲーム制作会社が社員や契約社員として直接雇用する方法があります。なお、給与が時給計算になる派遣社員と違い、月額になることで手取りに変化が生じるほか、残業の有無や福利厚生などの雇用条件が大きく変わることがあるので注意してください。

業務委託契約を結んで参加する

フリーランスのクリエイターとして、ゲーム制作会社と業務委託契約を結んで働く方法もあります。ゲーム制作会社が直接雇用する場合と同様に、多くは派遣会社を辞めることになるため、さまざまな保障が受けられなくなります。
また、業務上生じたトラブルなども自身で解決する必要があるため、相応の覚悟を持って仕事に臨むことが必要です。

無期雇用派遣契約に変更する

クリエイターが派遣会社と無期雇用派遣(常用型派遣)契約を結ぶと、3年ルールは適用外になり、派遣期間終了後も働き続けることができます。雇用主はこれまでと同じ派遣会社ですが、同じゲーム制作会社の同一部門で年数を気にすることなく働くことが可能です。
また、派遣されていない待機期間に休業手当が支払われるなど、期間が決まっている有期雇用派遣社員より雇用条件が良くなります。

派遣社員とほかの雇用形態との違い

ゲーム制作会社での働き方はさまざまですが、派遣社員とそのほかの雇用形態との違いについて確認しておきましょう。特に、派遣社員として働くことを考えている人は、3年ルールを含め、よく見比べておくようにしてください。

派遣社員(有期雇用契約):さまざまな会社やプロジェクトでスキルが磨ける

有期雇用契約の派遣社員は、派遣会社に雇用されゲーム制作会社に派遣されて働く雇用形態です。同じ会社の同一部門で働ける期間は最長3年と短く、さまざまな会社やプロジェクトでスキルを磨きたいクリエイターに向いている雇用形態です。
ただし、大きな会社やAAAタイトルなどでは関与できる範囲が限定されることがあるため、幅広い業務を担当したい人には向かないケースもあります。また、給与や福利厚生は派遣会社に準じます。

派遣社員(無期雇用契約):希望する限り同じ職場で働き続けることができる

無期雇用契約の派遣社員は、派遣会社の社員としてゲーム制作会社に派遣されるのは有期雇用契約の派遣社員と変わりませんが、3年ルールには縛られないので、お互いが希望する限り、同じ職場で働き続けることができます。
また、派遣先の仕事の進め方やローカルなルール、人間関係にも慣れているため、正社員と変わらない大きな役割を担うこともあります。なお、給与や福利厚生が派遣会社の基準となるため、契約を結ぶときは納得できる条件を引き出すことが大切です。

ゲーム制作会社の正社員と契約社員:安定した働き方ができる

ゲーム制作会社の正社員契約社員は、給与や福利厚生、就業規定など、すべてがゲーム制作会社の基準に準じる雇用形態です。特に、正社員は最も安定した働き方といえますが、配置転換や望まぬプロジェクトへの参加、昇進・降格といった組織の都合による変化も受け入れなくてはなりません。
また、契約社員は多くの場合1年間の報酬を提示され、それを12分割した額を毎月受け取ることになります。なお、正社員とあまり変わらない待遇や福利厚生を受けられる企業が多いようです。

業務委託(フリーランス):報酬は高額だが、休業補償や家賃・交通費などの補助は受けられない

業務委託は、スキルが認められたクリエイターがゲーム制作会社から業務を託され、その内容に沿って働く雇用形態です。一般的に、正社員を含むほかの雇用形態より高額の報酬が提示されますが、休業補償や家賃補助などの福利厚生はありません
また、年単位ではなく、プロジェクト単位やタイトルの中の決められたパートを完成させるまでといった期間で区切られることも多く、働きながら次の仕事を探しておく必要があります。

派遣社員の3年ルールに縛られるかは本人次第

クリエイターが派遣社員として働くときは、自分のキャリアプランを確認することが大切です。
大企業のAAAタイトルや世界的ヒットシリーズのナンバリングタイトルなどに関わることで箔をつけたり、ほかでは得られないスキルを身に付けたりするといった考えであれば、3年ルールの中で派遣先を変え、新しい知識や技術を吸収するのがおすすめです。一方、年数を気にせず力を発揮できるプロジェクトや気の置けない仲間、働きやすい環境を重視するのであれば、無期雇用契約の派遣社員のほうが合っています。

自分はどんなクリエイターを目指すのか、キャリアプランを考えるときには、ぜひシリコンスタジオスタッフのキャリアアドバイザーにご相談ください。

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